弾きにくい原因を探る①

曲を練習していると、
どうしても苦戦するところが出てきます。

例えばこういうパッセージは、
なかなか弾きにくいです。

この課題は、左手を1オクターブ下げて、
両手で弾くこともできるのですが、

音が高くなってくると、
左手の肘が、身体の中心より右に移動するので、
かなり弾きにくくなります。

この場合は、
左のお尻を若干浮かせつつ
右の坐骨に体重を乗せて
骨盤ごと少しずつ右に倒していくと良いです。

注意!
ウエストから右に傾けるのはNGです。
人の体は骨盤から曲がるのであって、
ウエストは曲がりません。

ウエストから曲げようとすると、
本来曲がらないところを
無理やり曲げているわけなので
どこか別の箇所に負荷がかかり、
痛みが生じたり、筋肉が硬くなったりします。

結果、とても弾きにくくなります。

あと、このパッセージの場合は、
降りてくる時が一番弾きにくいです。
(赤枠のところらへんかな)

昨日の生徒さんのレッスンでも、
かなり弾きにくそうにしていましたね。
音がところどころスカスカになっていました。

弾けない理由を自分で探ることが大事です。

こういう時、私はすぐにはアドバイスしません。
「どうしてスカスカになったと思う?」
と質問します。

そしてさらに、
「身体はどんな状態だった?」
と尋ねます。

生徒さんは、答えられないことが多いです。

でも、敢えて質問します。

なんでだろう?
って自分なりに考えて欲しいし、

原因を考えるためには、
さっきやったことを思い出して
検証しないといけませんよね。

これってものすごく大事なことなんです。

原因が分からないのは、「弾いているつもり」になっているから。

「答えられない」
「わからない」は、
無意識にやっている証拠です。

私たちって
ピアノを無意識に、
何も考えずに指だけを動かして

「弾いてるつもり」
になっていることが本当に多いんです。

この「弾いてるつもり」
聴いてない
弾いてない
感じてない

だから何も
伝わらない
感動しない

ちゃんと弾けてないだけ、
まだましかもしれませんよ。

だって、弾けてないから
意識しないわけにはいかないですもんね。

身体をどのように使っているのか、感じてみよう。

話を戻すと、
その弾けてない箇所を弾いてる最中に、

自分の身体を
どのように使っているのか、
どんな状態になっているのか

振り返る必要があります。

例えば、
背中や腕が硬くなってるとか
軸がブレてるとか
安定感がなくふわふわするなど

自分の体内をスキャニングして、
状態を確認してみるんです。

そして問題がわかったら、
どのような状態に戻したら
弾きやすくなるかを考えます。

結局は、
軸が安定し無駄な力みがなく、
脱力ができているニュートラルな状態
に近づけていけばいいんです。

心と身体と音は常に一緒に歌おう。

昨日の生徒さんの場合は、
腕の動きよりも、
骨盤の戻りのスピードの方が速かったため、

弾いているあいだに身体の軸がブレて、
骨盤の急激な戻りに引っ張られ
指が追いついていない感じでした。

「音や身体の動きに
気持ちがついて行ってなかったでしょ?」

と尋ねたら、

「はい」と返事が。

原則として
心と身体と音は、常に一緒です。
バラバラに動くと、絶対に美しく弾けません。

弾けない原因のほとんどがこれです。

肉体と魂と心はそれぞれ独立していて
繋がっていることが大切なのだけど
ピアノも全く同じです。

心と身体と音をそれぞれ感じて
マネージメントしながら
三位一体として繋がりあった状態で奏でる

結局、すべては精神論に行き着くんだよなあ…。

ゼヒトモ内でのプロフィール: 西山陽子 / Long Pianolife Academyゼヒトモのピアノレッスンサービス仕事をお願いしたい依頼者と様々な「プロ」をつなぐサービス

2021.1.15

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