「ピアノを学ぶ」よりも「ピアノで何を学ぶのか」が大切です

「ピアノを学ぶ」ことを
目的にしてしまうと、

  • 音楽の才能があるのか
  • どれだけ早く上達できるか
  • どれだけ身につくか

ということに意識が向いてしまって、
そもそもなぜピアノを弾きたいと思ったのか、
その思いの根っこを見失いがちです。

「ものにならないなら、辞めさせよう」
「才能がないから諦めた方がいいのでは」

こんな声もよく聞きます。

これって、無意識に

「上手にならなければ、ピアノはやってはいけない」
「ピアノは才能のある人が続けるもの」
「音楽は進学や就職に関係ないから将来役に立たない」

そんな偏った価値観が親の中に出来上がっていると、
その価値観はそのまま子どもに受け継がれます。
だから、親子ともにどんどん苦しくなるんです。

音楽は、

わたしたちに生きる喜びや
生きるエネルギーを与えてくれる

純粋で尊いものですよね。

だから、

誰でも好きなだけ楽しんで
誰でも好きなだけ学んで
自分の音楽を深めていっていいはず。

例えものすごく上手く弾けなくても
音楽は充分に楽しめます。

小さな成長も、
積み重ねればやがて大きな成長につながります。

傍から見ると気づきにくいかもしれませんが
小さな歩みは、本人にとっては
大きな試練と闘って得た勝利なんです。

試練と闘っている間も
必ず何かを学んでいるし
その学びや気づき、達成感が喜びになります。

本人が学びたいと望んでいるのであれば
この貴重な機会を
奪わないであげてください。

作曲者の想いと自分の感性をすりあわせ、調和する。これがコミュニケーション。

よく、
「バッハはこう弾くべきだ」
「この弾き方は、ベートーヴェンらしくない」
なんてことが言われますが、

バッハもベートヴェンも今生きていないし
どういう風に演奏して欲しいのか確かめようもないので

「これが正しい」
「あれは間違っている」
なんてこと、実際はわからないよねって
わたしは思っています。

作曲者の意図したことをおもんばかることは
もちろん大切だけど

それが合ってるか合ってないかの判断は
判断するひとの主観なので
あてにならないと思うんですよね。

だからその解釈で
合ってるのかもしれないし
間違っているかもしれない。

この感覚は忘れずにいたいんです。

絶対にこうだ!
だからこのように弾きなさい!
なんてことはナンセンスだと思っています。

だからこそ、
自分はこの作品から何を感じ取るのか
何をどのように表現したいのか

作者の想いとすり合わせながら調和していく
この双方のコミュニケーションが
音楽をする楽しさや歓びにつながるんだと
感じています。

「ピアノで何を学ぶか」で人は深まる

そんな思いがあるので
私がより大事にしたいのは
「ピアノで何を学ぶか」ということ。

この「何を学ぶか」は
ひとりひとり異なります。

また、人として成長していく過程で、
気付きや学びは深まり変化していきます。

  • 純粋に音を鳴らすこと
  • 真似して同じ音楽を奏でること
  • 一緒に併せること
  • 自分の身体を自分の意志でコントロールすること
  • 作曲者の意図を読み取ること
  • イメージすること
  • 表現すること
  • 伝えること
  • 創造すること

など、数え上げたらキリがありませんよね。

大人にとっては当たり前なことでも、
特に子どもたちにとっては、
不思議な驚きに満ちていることは多いんです。

そして、新しい発見の悦びに満ちた
キラキラした眼差しを見るたび、

「これは当たり前じゃなくて、
与えられた幸せなんだな」

と気付かされます。

そして、このような新しい発見は
大人のわたしたちにも訪れます。

大人にとってもこの世は
知らないこと
不思議なことで溢れています。

自分は何も感じなかったけれど
他の誰かにとっては驚きをもって感じられること

この相違も、また楽しい。

そうやって、
教える側、教わる側が
お互いに学び合えるんだと思います。

「何を学ぶか」の先には、「なぜ学ぶか」が必ず存在します。

人は○○したいということは分かっても

なぜ○○したいのか?までは
知ろうとしないものです。

でも、その「なぜ」を知ることが
とても大事なんです。

なぜならば、
「なぜ」に、○○を通して学べる
その人のその時の生きる目的があるし、
その人の本質を形づくっていくものだから。

「なぜ」には
大きな目的も
小さな目的もあります。

その大小の目的が積み重なって
その人の人格が出来上がっていきます。

テクニックや知識をどれだけ身に付けたところで
表面的なわかりやすい「すごい人」にはなれても
人格が深まるかどうかはまた別の話。

さらに身に付けた知識やテクニックは
○○限定。

「なぜ学ぶのか」を探求すれば
そこで身に付けたり学んだことは
すべてのことに活用し応用できます。

あなたは
ピアノで何を学びますか?

そして
なぜ学びたいのですか?

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2021.6.2

レッスン, ピアノで学ぶ生き方, 大切なこと, 哲学