ピアノの発表会やコンクールで演奏したり、
演奏家の方の密かな悩みのひとつとして
靴
の問題があります。
ただでさえ、
常に鍵盤の上に指を乗せるために
腕を上げた状態をキープし、
3つのペダルを足の裏で操作するという
ピアノを弾く姿勢は、非常に不安定です。
この不安定な姿勢をさらに増加させるのが、
ペダルの存在です。
ペダルは、グランドピアノの場合は
最大約20mmほど深く踏み込むことができます。
踏み込む深さによって、
音の響き具合(と同時に濁り具合)が微妙に変化しますので、
自分が今ペダルをどのくらいの深さまで踏んでいるのかを
mm単位で把握することはとても重要です。
欲しい響きに合わせて、
ピアノ奏者は常にペダルをコントロールしています。
そして、このペダルを踏む際に
床と接触しているのは、踵のみです。
両足を使ってペダルを踏むとなると、
さらに不安定さが増します。
裸足での演奏でもこの不安定さなのですが、
靴を履くと、さらに障害が増えます。
靴には靴底がありますよね。
大概の靴底は分厚いです。
自分がどのくらいの深さで
ペダルを踏んでいるのかという感触は、
裸足であればわかりやすいのですが、
靴底が厚いと、直にペダルの感触を感じられないので、
感覚が鈍くなります。
さらに、女性の場合、ヒールのある靴を履くと、
身体の重心のバランスが
素足の時とかなり異なってきます。
そもそも、足うら全体、
もしくは踵で支えていた身体を、
面積の狭いヒールで支えなければならなくなりますので、
ここでもバランスを保つコツが必要となります。
また、ヒールを履くことで、
足の甲が高くなりますので、
前脚に負荷がかかり、お尻やお腹にも緊張が加わります。
すると連動して全身が硬くなっていきます。
身体が緊張する
=音が固くなる
=表現の自由さが損なわれる
ため、身体が緊張しない座り方、
体の使い方のバランスを改めて見つけなければなりません。
正直そこまでしてヒールを履かなくても
いいんじゃないの??という気もしますが、
ドレスを綺麗に着こなそうとすると、
どうしてもヒールを履きたくなってしまいますからね、笑。
ピアノの靴の選び方。
靴底が薄くて、可能であれば
ぐにゃりと曲がるものがおすすめです。
あとは、ヒールは色々高さを試してみて、
自分がペダルの踏み方をコントロールしやすい
高さを見つけるとよいと思います。
ちなみに私の場合は、
5〜6cmのヒールまでがなんとか許容範囲のようです。
7cmになると、前脚が張ってきますし、
その張りを庇おうとするために
身体のバランスを取るのが難しくなります。
演奏第一で考えると一番良いのは
ぺたんこ靴ですね。
最近はバレエシューズも先が尖っている
エレガントなタイプで、
かつゴールドやシルバーなどの
ドレスにあう色味のものも売られていますので、
1足持っていると便利ですよ。
子どものピアノの靴も靴底が薄く、サイズがぴったりのものを選びましょう。
最近は、ピアノ専用の靴も売られています。
ですが、子どもは足のサイズも
すぐに大きくなってしまうので、
できれば見た目が良くて、
手頃な価格の靴を探したいですよね。
子どもの靴を選ぶ際に
気をつけていただきたいことは、
サイズ
靴底の薄さ
靴底の柔らかさ
です。
ここでもバレエシューズはおすすめです。
大人の靴もそうですが、
手頃な値段の靴の方が、
靴底がゴムなので自在に曲がって
踏み心地が良いということに最近気づきました。
靴のサイズは、間違っても
大きめのものは選ばないでくださいね。
靴の中で足が泳いでしまうので、
身体の重心が安定せず、演奏に影響します。
ぴったりサイズの靴を選んで、
本番が終わったら普段使いにして
履き倒すのも良いと思いますよ。
ピアノの靴選びのまとめ
探すとなかなか見つからないのが
ショッピングのあるあるです。
パーティーシーズンは、
キラキラしたおしゃれな靴がたくさん店頭に並ぶので、
探すにはうってつけです。
大人の方は、足のサイズは変わらないので、
お気に入りの一足をゆっくり探し、
お子さんはその時のぴったりサイズを手に入れる。
靴底は柔らかく薄いものを選ぶ。
文字で説明されてもいまいちぴんと来ない方は、
お持ちの靴を履き比べて、
ペダルの踏みやすさの違いを
実感されるといいと思います。
あなたのお気に入りの一足とともに
素敵なピアノを奏でられますように。
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2020.10.16