「学ぶ」ということ。ピアノの視点から学びの本質について考える

ピアノのレッスンを受けて、お家で先生から教わったことをきちんと復習して、言われたことはとりあえず全部できるようになった!

その後、あなたはどうしていますか?

「次に何をすればいいのか分からない」
「だって、先生は何も言ってないし」

と、そこで練習がストップしていませんか?

私は毎回レッスンで、合格した曲の次の曲を宿題に出すので、わかりやすいように宿題マークの星印を付けてあげるのですが、私も人間ですからたまにマークをつけ忘れます。そうしたら、ある生徒さんは新しい曲をやってこない。

「どうしてやってこなかったの?」と尋ねれば、「星印がついてなかったから」と答えます。

ここまで受け身となると、これでよいのだろうかと考えてしまいます。

あなたは何のためにピアノのレッスンを受けているのでしょうか?
そもそも「学ぶ」ってどういうこと?

「自ら学ぶ」ということを知らない受け身な子どもたちの実態

ピアノのレッスンをしていて、私が生徒さんに前回のレッスンで伝えたことを、生徒さんがきちんとマスターしてはいても、+αの変化があまり見られないことはよくあります。

正直なところ、教師の立場としては、その+αの成長を観たくてレッスンしているのですが、残念ながら現実は、「先生の薄っぺらいコピー」止まりなことが多いのです。

芸事は昔から、「先生を見て真似る」「見て学ぶ」要するに「盗む」ことが大事だと言われてきました。鋭い観察力に加え、集中力、外からの情報を受け止める豊かな感受性、向上心など、より高度に緻密に芸を盗み、自分のものとするには様々な能力と努力が必要です。

しかし、それ以上に芸術は、哲学でもあると思います。
哲学とは、「その人の深い考え」のこと。

音楽で言えば、作曲者の哲学や演奏者(あなたのことです)の哲学、作曲者が生きた時代の哲学だけでなく、 集合無意識的な今の社会の「こうあるべきだよね」という常識や価値観も多少なりとも影響を与えてくると思われますが、こういった様々な哲学が交じり合って、演奏の中からにじみ出てきます。意図をすればその想いはより一層強く音として表面に表れてきます。

哲学がなければ、その演奏はただの音の羅列に過ぎません。
それはまるで、思考の片りんや感情の起伏が感じられない、つまらない教科書の棒読みのようなものです。

「こう弾きなさい、このように練習しなさいと言われたからその通りに弾けばいい」

他人の思考はコピーできませんし、コピーしたところで何の価値にも栄養にもなりません。このような「形だけの学び」は本当の学びとは言い難いと私は感じています。

とはいえ、学校でも、もしかしたら家庭でも、(もっと言えば会社でも)、与えられたことを皆と同じようにこなし、良い成績を上げる(これはまさしく、与えられた課題を期待された通りにこなした結果です) ことが常に求められるのかもしれません。しかし、そこにはその人ならではの独自の思考すなわち哲学が入り込む余地はありません。哲学無き空虚な学びが高く評価されているのではないでしょうか。

子どもたちや、わたしたち大人でさえも、この空虚な学びを器用にこなす人材が求められていることを知っているが上に、そのような人になろうと無意味な努力を繰り返しているのかもしれませんね。

もう、そんな学びや教育はいらない?
私はそう信じています。
もし、あなたも共感するのであれば、今ここで本当の学びをはじめませんか。

自分の哲学を育てていく愉しみを、ピアノと向き合うことで味わう

自発的な学びには、

①自分の想いや願いに素直に従うこと
②その想いや願いを発している自分の声に耳を傾けること(内観)
➂自分の理想に近い、もしくは理想を超える良きお手本を探し、目標とすること
④以上をもとに、その想いや願いを現実化するために試行錯誤し、研究すること
⑤適切な指導者のもとで、その想いや願いの現実化に力を貸してもらうこと

が必要になります。先生の出番は、何と5番目です。最後です!
(もちろん、ある程度自分で学びを深められる基礎的な知識やテクニックがあるレベルに達した場合の話です。全くの初心者であれば、幼児の場合は⑤が、小学生以上、特に大人であれば①②➂⑤がまずは重要になるかと思います)

ピアノは、鍵盤を下げれば音が出る楽器なので、ヴァイオリンや声楽のように音を自ら創り、耳で確認するという繊細で重要な基本姿勢を忘れてしまいがちですが、実はピアノも音の高さや純度、明度、硬度、響きなど多様な表現が可能な楽器です。心の微細な動きも、情景描写も、時間や空間、光の移ろいまでも表現することができます。

だからこそ、あなた自身の確固たる哲学が、演奏でものを言うのです。

「こう弾きたい」
「こんな音が欲しい」
「こんな感じをピアノで表現したい」

このような思いがあなたにあれば、おのずと理想の音がぼんやりとでも浮かんできます。具体的なイメージが湧かなくても、共感する音楽や音を耳にすれば、「自分の表現したかったのはこれだ!」と有頂天になるはず。

だからこそ、日々の良質な音楽のインプットは大事です。
是非音響効果の優れたオーディオと、一目ぼれしたピアノをあなたの自宅に用意して、毎日素晴らしい音楽作品を味わってください。今は、無料で膨大な数の名演奏を心ゆくまで楽しむことができる、本当に恵まれた時代です。

また、あなたの思考を深めるために、さまざまな書物を読んだり、映画を観たり、植物を育てたり、自分の好みのものを集めたりと「自分らしさ=哲学」を見つめ深める方法はいくらでも日常の中から見つけることは可能です。

こういった能動的な学びが、本当の「学び」なのだと私は感じています。

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2020.8.18

ピアノで学ぶ生き方